2017年5月15日月曜日

アカデミックライティング (2)

アカデミックライティングの続きについてご説明します。ボディの基本的な構造です。パラグラフィングとも呼びます。アカデミックエッセイにおいて、一つの段落は、トピックセンテンス、エビデンス、アナリシス、カウンターアーギュメント、リバトル、コンクルーシブセンテンスから成り立ちます。

トピックセンテンスは、シーシスを支える書き手のアイデアです。常にパラグラフの一行目に来ると言っても過言ではないでしょう。なぜ自分の主張 (シーシス)が正しいのかを伝える、エッセイの柱となる非常に重要な一行です。エッセイを読んでもらうためには、シーシスとトピックセンテンスによって、自分の主張を論理的に伝える必要があります。

エビデンスは、トピックセンテンスを支える客観的な事実データのことを差し、通常、23行で構成されます。その11行が、異なるアカデミックジャーナルやニュース記事の文献インタビューなどの引用やパラフレーズから構築されます。出典を明らかにする必要性と、自分の意見ではないという点において、客観的といえるでしょう。

アナリシスは、トピックセンテンスとエビデンスの接続の役割を果たします。結局、何が言いたいの?という質問に対し、ズバリと答え、読者になるほど!と思わせることが大事です。トピックセンテンスやエビデンスでは、内容がほとんど決まってしまう一方、アナリシスの一文がまさにアカデミックエッセイのキーセンテンスです。「要するに」、「概して」などのキーフレーズがよく用いられます。エッセイの独自性が現れる一文です。

カウンターアーギュメントは、読み手の反論です。書き手が、生じ得る反論を想像して「このような反対意見をもつ人もいるかもしれないが...」と続けます。短いエッセイだと一文の半分くらいです。反論を自分のエッセイに組み込むことで、より多くの読み手を巻き込むと同時に、エッセイとしての客観性を上げることができます。カウンターアーギュメントのないエッセイは独りよがりと呼ばれても仕方ありません。

リバトルは、カウンターアーギュメントに対する書き手の再反論です。エビデンスとアナリシスの数文によって裏付けたトピックセンテンスの内容をさらに強くサポートします。カウンターアーギュメントとリバトルはセットで考えます。カウンターアーギュメントはデタラメに、または、書き手の都合の良いものだけを選ぶのではありません。むしろリバトルによって、書き手の主張をさらに客観化するものです。

コンクルーシブセンテンスは、トピックセンテンスの再掲です。ここまで来ると一段落も長くなっていますから、リマインドの意味があります。また、次の段落への繋ぎの役割も果たします。

ボディの基本的な構造は以上のとおりです。短いエッセイを想定して文の長さを仮極めしていますが、長いエッセイでも同様です。カウンターアーギュメントやリバトルに一段落を費やすこともあります。設定したシーシスに対して、書き手自らが賛成なのか反対なのかわからない状況が起こり得ます。反論を考えるからです。これがまさにアカデミックエッセイがアカデミックである所以と言われています。

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