2017年6月10日土曜日

ビバレッジ先生

ノースカロライナのコミカレ生活で、ビバレッジ先生との出会いについて触れない訳にはいきません。年齢は50代半ばでしょうか?ビバレッジ先生には、2016年秋セメスターで、ミクロ・マクロ経済学の両方を教えていただきました。この先生の講義がなければ、僕のANUでの勉強はもっと大変だったでしょう。先生との出会いに感謝しています。

ビバレッジ先生はスコットランド出身ですが、奥さまがアメリカ人なので、渡米しました。もうアメリカでの生活は何十年になるそうです。本当かどうかわかりませんが、今ではパスポートの更新もしていない、と講義中に話していました。まあ、ダラムのようなアメリカの片田舎では、それでもやっていけるだろうと僕も変に納得していました。

彼の講義スタイルは学生を巻き込むとても楽しいものでした。例えば、機会費用の説明において、彼は二種類のチョコレートを手にし、学生に「どちらを選ぶか?」と尋ねます。一つのチョコレートを選んだ学生に、選ばなかったもう一つのチョコレート、これが機会費用だと説明するのです。数学を使わないで経済学の本質を学ぶことができました。

彼の採点方式も興味深いものでした。100点満点のテストなのですが、得点の平方根を10倍して最終得点を計算するのです。例えば、64点の学生は、√64*10=80点となるのです。授業・テストには容赦なく厳しいですが、評価には寛大な先生でした。

先生は二冊の教科書を出版しています。"A Primer on Microeconomics"と"A Primer on Macroeconomics"です。とてもわかりやすい著書です。僕は日本で経済学を独学した経験があるのですが、日本語のテキストを読むよりも、ビバレッジ先生の英語での説明を読む方が数十倍わかりやすいです。残念ながら、現在、日本でこの本を入手することは難しいと思います。この本の翻訳を出版することは僕の夢の一つです。

ビバレッジ先生はアメリカで何十年と過ごしていますが、未だにアメリカが故郷だという感覚はないそうです。パスポートも切れていますし、スコットランドに戻る機会はおそらくないでしょう。せめて、先生もスコッチウィスキーをゆっくり愉しむ時間があればいいのになあと思っています。

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